古生代カンブリア紀(壱)
[カンブリア紀の大スター]
カナダ西部を走るロッキー山脈の中腹に、「バージェス頁岩(けつがん)」と呼ばれる古生代カンブリア紀の地層があります。カンブリア紀とは5億4200萬年前から4億8830萬年前の古生代初期の地質年代のことです。
このカンブリア紀に現在地球上で確認されてゐるほとんどの生物種の原型が出現したとされます。
この“出現”は非常に唐突であり、それ以前、つまり「先カンブリア紀」と呼ばれる時代との關連が全く見出せないことから、この現象は「カンブリア爆發」と呼ばれてゐます。
またバージェス頁岩からは、非常に多くの奇妙な生物化石が多數發見されてゐますが形状があまりに奇天烈なため、彼等は「バージェス・モンスター」などとも呼ばれてゐます。
バージェス頁岩が発見される以前の1886年、バージェス頁岩の近くのスティーブン山で奇妙な化石が発見されました。鉤型をした生物の化石で、内側に棘のやうなものが生えてをり、エビに似てゐたところから「アノマロカリス(奇妙なエビ)」と命名されました。20個以上発見された化石は全て、そろいもそろつて頭部が欠けてゐて、確かに「奇妙」ではありました。
その後、1909年に発見されたバージェス頁岩の中からもこの化石は出てきたのですが、これらも全て頭部が欠けてゐたのです。なぜアノマロカリスの頭部が欠けてゐるのか・・。
學者たちは悩みました。どこかに頭部がある筈だと・・。
もう一つ奇妙なことがありました。頁岩から発見される他の生物たちには明らかに「消化器官」が認められるのに、この奇妙なエビにだけはそれが見受けられなかつたのです。
一方、別の化石で頭を悩ませてゐた學者もゐました。それはクラゲの様な円盤状の化石でした。
しかしそれはクラゲのやうではありながら、中央に穴が開いてゐたのです。そんなクラゲの化石はそれまで発見されてゐませんでした。これは「ペユトイア」と命名されました。
ところが、頭の無いエビと穴の開いたクラゲ、これらの奇妙な二つの化石がある日突然結ついたのです。
それは、またこれらとは別にナマコと思はれる化石を採集してゐるときに起こりました。
削り落とされた岩の下から、あのクラゲと思はれてゐた円盤状の化石の一部が現れたのです。
そしてすぐその近くからは、一対のあの「エビ」も一緒に発見されました。それまで全然別のものと思はれてゐた化石が一箇所に固まつて発見されたのでした。これはもう偶然とは言えなくなります。
研究の結果、これらの化石は、もつと大きな生物の一部だつたと結論づけられたのでした。
古生物學では、別々と思はれてゐた生物が同じ生物のものだと判明した場合、最初に命名された名前が優先するという決まりがあります。それでこの、「エビ」と「クラゲ」と「ナマコ」が合体したやうな新しい大きな生物の化石は、最初に発見されたエビのやうな化石の名前をとり、「アノマロカリス」と呼ばれるやうになつたのでありました。1985年のことでした。
最初に「奇妙なエビ」が発見された時からすでに100年が経つてゐました。
これが當初それぞれ別の生き物と思はれてゐた化石達です。
http://www.trilobites.info/background.html
そしてこれがアノマロカリスの復元圖です。
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5218/anomarokarisu.html
[アノマロカリスの種類]
アノマロカリスはこれまでに数種確認されてゐます。
バージェス頁岩からは、「アノマロカリス・カナデンシス(Anomalocaris canadensis)」と「アノマロカリス・ナソルスティ(ナソーリ)(Anomalocaris nathorsti)」の2種が確認されました。一般に体長60cmとされる種はカナデンシスの方です。
ナソルスティは最近になつて「ラガーニア・カンブリア(Laggania cambria)」として再記載されてゐます。
それから北西ポーランドからは「アノマロカリス・カスビア」が報告されてゐます。
また、中国雲南省からは、3種の報告があります。中国産のものには、2本の長い尾がありました。
一つは体長11cmの小型のもの、二つ目が体長1メートルの大型のもの、そして驚くべきは三つ目で、これは例の円形の口しかみつかつてゐませんが、その直径は25cmに達し、本体の推定体長は実に2メートルにもなります。
アノマロカリスはカンブリア紀最大の捕食者でありました。顔の前面にあるあの棘だらけの腕で三葉虫などを捕まえ、あの丸い口についた歯でバリバリとやつてゐたのでせう。現に、アノマロカリスにかじられたと思はれる痕が残る三葉虫の化石が発見されてゐますが、これについては疑問視する研究者もゐます。
http://www.palaeoshop-fossil.com/6million/GalleryK/permanent/Erlathiakingii1-1.html
こちらにはいろいろなアノマロカリスが紹介されてゐます。
http://www.museum.fm/anomalocaris/species/species.htm
<次回につゞきます>
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